最近は、核家族化が進み、高齢者だけの世帯が急激に増えています。国は、65歳以上を高齢者と定義していますが、実際の社会で65歳はまだまだ元気。とはいえ、体の状態は人それぞれですし、75歳を過ぎればいつ何が起こるか分からないので、離れた親が心配でなりません。
国では、高齢者世帯の調査をしてレポートにまとめています。すると、深刻な状況が浮かび上がってきました。
独居高齢者・高齢夫婦の現状
国民生活基礎調査の概況という国民生活の基本事項を調査してデータ化したものが、厚生労働省が公式サイト上などで公開されています。
そのデータから65歳以上の高齢者がいる世帯の家族構成分布の推移などで、独居高齢者や高齢夫婦世帯の増加が社会問題化している現状を知ることができます。
子供や孫などと一緒に暮らしていない高齢夫婦の世帯は、高齢者がいる世帯全体の約31.0%を占めていて、高齢者一人身世帯となる独居高齢者世帯は約26.0%を占めているのです。
つまり、高齢者がいる世帯の4世帯に1世帯は高齢者1人だけの独居高齢者世帯で、高齢者だけの世帯は約57.0%で6割近い数になっている現状なのです。
このような現状なので、転倒による骨折・室内における熱中症・ぎっくり腰など、何らかのリスクとなる事柄が発生した場合に手遅れになってしまう可能性が高いと考えられます。
また、普通の日常生活であっても買物困難者問題など、些細なことであっても大きな問題になってしまうこともあるのです。
このような、独居高齢者・高齢夫婦といった高齢者のみの世帯が増加傾向にあることは、大きな問題として捉えて様々な対策を行政側としても実行することが求められています。
それと共に、高齢者世帯の見守り方法を遠隔地に暮らす子や孫も考える必要があると言えます。
「まさか!」高齢者の孤独死の実態
高齢者の孤独死はもはや珍しいものではなくなったのは、ある種の社会問題として提起されている面もありますし、言葉自体が一般的になったことからも、日常であり得る事象です。
とはいえ、本音を言えば「実感がない」のひとこと。私たちの身の回りで、実際に高齢者の孤独死を見聞きしたことがないからにほかありません。
そこで、高齢者の孤独死の現状を調べてみました。これは、内閣府平成26年版高齢社会白書(概要版) によって公表されている東京23区での数値ですが、年間に2,733人の高齢者が孤独死しています。1日に7.48人。「まさか!」と思えるほどの死者数となっています。
一方で、65歳以上の方は孤独死をどのように感じているかといえば、高齢夫婦世帯の2割、独居高齢者の4割が自分にふりかかる身近な問題であると感じています。
私たちは、根拠もなく「まあ、大丈夫だろう」と感じている一方で、孤独死への恐怖を持っている当事者(親)はたくさんいるという意識のズレも認識しなくてはいけません。
離れていても安心なシステムの導入を考える
遠隔地でひとりや夫婦だけで暮らしている高齢者の親のことは心配だけど、職場からは連絡しにくいし帰宅する頃には寝ている時間なのでなかなか電話ができないということもあります。
また、メール・LINE・SNSなどデジタルに縁遠い高齢の親なので、安否確認などが難しいといったことも少なくないのです。
そのような現状にある時に、とても便利で役立つのが様々な形で行われる高齢者見守りサービスで、利用することにより離れていても安心です。
緊急通報システム(行政)
見守りサービスも多種あり、多くの自治体で導入しているものは、緊急通報システムと呼ばれています。
この高齢者見守りサービスの歴史は長く、緊急通報サービスの原型となるものが1980年代に登場しています。その後各自治体で実施する緊急通報サービスは本格化して、2003年頃にはほとんどの自治体で行われている現状です。
いつでも身に着けておける、小さいペンダント型の送信機のボタンを押せば、無線でコールセンターにつながる仕組みなので、転んだり容体が悪くなって動けなくなるなどアクシデントのときは、救急車を呼ぶなど即座に対処してもらえます。
自宅内にあるメイン送受信機の電波が届く範囲内だけですが、電波は数十メートル届くので、家庭内はもちろん庭や家庭菜園での一大事にも対応できるなどカバー範囲は結構広いです。
寂しいときはコールセンターが話し相手になってくれたり、月数回の定期連絡で様子のチェックもしてくれます。
これほど至れり尽くせりなのに、料金は月額1,000円前後であったり、市町村民税の金額によりますがおおよそ1割程度と民間サービスに比べて格段に安くなっています。
緊急通報システムは、行政が提供するサービスなので安心かつ安価なのが大きなメリットである反面、近所にお住まいの方や民生委員などの協力なしには導入できません。
というのも、利用開始時に2~3名の協力員の署名が必要で、高齢者に何かあって通報システムのボタンを押したときに協力員が駆けつけるシステムになっているから。
正確には、システムのボタンを押した高齢者からコールセンターに連絡が行き、コールセンターから協力員に連絡が届き、協力員が駆けつけるようになっているんです。
急な病変などのときは、コールセンターが救急車を呼んでくれますが、やはり協力員にも連絡があるので様子を見にいくこととなります。救急車が来たとき、鍵がかかっていたら救助できない(救助隊は窓を割ったりして中に入ります)と困るので、協力員があらかじめ鍵置き場を聞かされていて開錠するなどの対応もすることになります。
日中は忙しい人が多いので、ご近所さんに迷惑をかけてしまうのも気が引けますし、日中ならまだしも、緊急時は深夜対応もあります。真夜中2時頃にコールセンターからの電話で起こされて駆けつけることもあります。
そのため、緊急通報システムの設置に、高齢者さんや遠くに住むご家族が後ろ向きになることが多いんです。
その他の見守りサービス(民間)
それから、電気ポットを利用した安否見守りサービスというのが1996年にスタートして、現在では「みまもりほっとライン」という名称でマホービンメーカーの象印が実施しています。
高齢者は、電気ポットのお湯でお茶やコーヒーを淹れることに着目したもので、電気ポットが使われると電波が飛んで健在であることを確認するシステムです。
また、高齢者に食事を届ける配食サービス活動と共に安否確認をするものや、郵便局でも月に1回スタッフが訪問して様子を確認するサービスを実施しています。
携帯電話各社(ドコモ、au、ソフトバンク)も、インフラ整備網を有効活用して、ケータイ端末を使った見守りサービスを始めています。
そして希望があれば事前に指定した連絡先に確認内容に関しての報告をしてくれるのです。このように行政や民間企業・NPO法人などが様々な見守りサービスを実施しています。
ホームセキュリティの遠隔見守りサービスが人気な理由
様々な見守りサービスを活用することで遠隔地にいる高齢の親の安否が確認できて安心できますが、ホームセキュリティの遠隔見守りサービスを利用するのもひとつの方法としてあります。
最近ではセキュリティ会社が実施している高齢者の見守りサービスのクオリティも高くなっていて、人感センサーによる防犯や防火と共に、救急・健康・医療サポートなどがセットになったサービスが提供されています。
その為、救急ボタンを握るだけで緊急スタッフが駆けつけてくれて適切な救急通報をしてくれますし、家族の緊急連絡先にも連絡が届くようになっているのです。
このようにホームセキュリティを導入することで、防犯面だけでなく高齢者の暮らしも見守ってくれることが人気になっている点です。
また、基本サービスだけでなくて離れて暮らす家族のニーズに対応した安心できるオプションサービスが充実していることも人気になっている理由の一つです。
それから補償制度が標準装備になっている商品もあって、盗難保険金が支給されたり建物の修復費用見舞金が支給されたりするのも人気の理由です。
いずれにしても遠隔地に暮らす親をしっかりと見守るために、ホームセキュリティの導入を検討してみましょう。